「GOOD DESIGN EXPO 2011」に行ってきました。

【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

8月26日~28日にビックサイトで開催された、
「グッドデザインエキスポ 2011」に行ってきました。

グッドデザインエキスポは、グッドデザイン賞二次審査会終了後の会場を公開して行われ、東京ビッグサイトの巨大な空間に、身近な生活用品から乗用車や建築まで、私たちのくらしと社会をとりまく、ありとあらゆるデザイン2,000点以上が一堂に並びます。

Area Aid Design Project JDP東北茨城デザインプロモーション【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

今回、私たちが注目していたのは「Area Aid Design Project」のブース。

このブースは公益財団法人日本デザイン振興会が、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、デザインを通じた復興支援の取り組みを推進するべく、同年6月1日に「復興支援デザインセンター」を発足させ、東北地方や茨城県のものづくり企業とデザイナー・クリエイターの事業推進を支援することを目的として、東北六県(青森県・秋田県・岩手県・山形県・宮城県・福島県)および茨城県からのべ100社の企業とデザイナーが参加しています。

コロンブスのまな板【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

その中に私たちが震災前の3月1日に茨城県の笠間で開催された「茨城デザインセレクション@回廊ギャラリー」の会場でお会いした、茨城県東茨城郡城里町の株式会社「大崎材木店」さんの『桧のまな板立て』が今回のグッドデザイン賞一次次審査を通過されたというご連絡を聞き、まずはご挨拶に伺いました。

2009年に茨城デザインセレクションを受賞した「コロンブスのまな板」は、国産のイチョウや木曽檜を使った香りの良さ、シルエットの美しさと機能性を兼ね揃えたデザインが特長です。

桧のまな板立て【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

今回ノミネートされた『桧のまな板立て』は、まな板同様に毎日台所に立つ主婦ならではの目線で設計・デザインされ、同社製のコロンブスのまな板ではなく、市販のまな板にも対応できる仕様となっています。

「毎日使うものだから、もっとラクに便利に楽しく!」

と笑顔で話すのは、デザイナーの大崎真弓さん。
この言葉こそ、全てのものづくりの根底にある定義ではないでしょうか。

鈴木米【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

その他にも、先日の「これからのまち→これからのNIPPON(green drinks Japan サミット!)」でお会いしました「green drinks SENDAI」のオーガナイザー、鈴木宏平さんプロデュースの『鈴木米』をはじめ、様々な東北発のプロダクトが出展されていました。(今後少しずつご紹介していきたいと思います。)
秋田の若手米農家「トラ男」のプロデューサー、武田さんとも会場でバッタリお会いしました!笑

 

そして今回、兼ねてからお会いしたかったのが「casane・tsumugu -かさね・つむぐ-」のデザイナー・プロデューサーである、田宮 慎さん。

スーベニアプロジェクトを今年1月に発足して、様々なリサーチを進めてきましたが、私たちが【秋田のキーパーソンになるのは、この人だろう】と勝手に心に決めていたのが、田宮さん。

casane・tsumugu -かさね・つむぐ-」のコンセプトは、

既にあるモノ・ヒト・コトを丁寧に見つめ、この地域にしかない普遍的な魅力を拾い上げ、角度を変え、ときに形を変えながら、内外に発信していきます。

より広域に、視野を広げ、情勢や風向きの変化を俯瞰で見ることと、より密度を高めて、凝縮していくことを融合・共存させながら、一つ一つ丁寧に、先達への感謝を忘れず、次代へ紡いでいけるよう、地域の魅力を可視化させ、地域内に複数の事業や商品、仕組みを生み出していきます。

地域が地域らしくあり続けられるために。

2009年秋、秋田に拠点を移し、2010年4月、秋田~北東北を起点に、地域固有の持続可能な地域資産を(再)発掘、(再)デザイン、価値最適化し、人々の想いを重ね、未来へと紡ぐ[casane・tsumugu -かさね・つむぐ-]を立ち上げました。

まさに、私たちの目指すべき道と、同じレールを歩まれている田宮さん。
出逢うのは時間の問題だっかもしれません。

この日、実際にお会いしたのが初対面ではありましたが、もっとずっと話したい、訊いてみたい、一緒に朝までお酒を呑んでみたい!!
と心から思う、素敵なビジョンを持った方でした。

新月伐採材のフォトフレーム【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

今回、田宮さんがプロデュースされている「新月伐採材のフォトフレーム」は、写真で見るよりも、実際にはもっと杉の柔らかな質感が感じられます。
もちろん木材なので触れば堅いのですが、その感触はどこか柔らかく、自然と日常に溶け込みます。

『おうちの中で、地域の木や森とのつながりを感じられるモノ』というテーマにぴったりです。

L版の写真が両面に収まるこのフォトフレームは、釘などを一切使わず、また塗装も蜜蝋のみで仕上げられています。

木材は日本一深い湖「田沢湖」のすぐそばで、代々製材業を営んでおられる秋田県仙北市の「田口木材」さんのもので、秋田らしさを感じられるプロダクトです。

大館曲げわっぱの時計「wappa」【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

また、「ZERODATE」(ゼロダテ)という大館出身のクリエイターが自発的に立ち上げたアートプロジェクトからの作品では、天然秋田杉から作られた大館曲げわっぱの時計「wappa」がノミネートされており、これも普段の生活の中に伝統工芸が溶け込むプロダクトとして、シンプルなデザインでありながらも、細部にこだわりを感じ、完成度が高かったです。
年内発売予定ということで、何はともあれ年内に秋田に取材に行かなければならなくなりました。

曲げわっぱと言えば、「お弁当箱」をイメージしがちですが、サラリーマンやOLが、ランチタイムに机の上に「曲げわっぱ」を広げている光景は、あまり見たことがありません。。。
問題は用途の提案だと思うのです。

現代人のライフスタイルに合う伝統工芸品となれば、
「曲げわっぱのお弁当箱」よりも
「曲げわっぱの掛け時計」の方が、
日常使いされるのではないでしょうか?

そんな事を田宮さんとお話しながら、地域への取り組みや、ものづくりの姿勢にとても共感し、今回お会いする機会を得られたことを光栄に感じております。

【スーベニアプロジェクト】「グッドデザインエキスポ 2011」のレポート

最後に、今回は「Area Aid Design Project」を通じて多くのプロダクト、企業様やデザイナーさんにお会いできましたが、私は東北地方のポテンシャルの高さを改めて実感しました。

いまは、「頑張ろう東北!」というキャッチコピーで各地で様々な取り組みがなされていますが、それは単なる理由の一つであり、もともと東北地方はこれだけの人を惹き付ける魅力があったということだと思うのです。

「いま、東北がおもろい!」という時代の幕開けです。

スーベニアプロジェクト『Yoshiharu KOIKEDA』

Yoshiharu KOIKEDA

▶ ART DIRECTOR / DESIGNER

1978年生まれ、桶川育ち。文化服装学院流通専攻課程スタイリスト科卒。バイクで日本一周を敢行。2003〜2008年の間、イギリスに留学。LSC、Central Saint Martins College of Art & DesignでGraphic and Industrial Designを専攻。2008年に帰国後、シミコムデザインを設立。2011年にスーベニア・プロジェクトを始動。

Twitter:@shimicomdesign