タビモノ 2011:金沢 – 加賀 – 輪島 vol.12「塩安漆器工房」

輪島塗スピーカー「Something to Touch」

今回、輪島に足を向けたのは、
以前より興味を惹かれていたプロダクトが目的。
それが、、、

「Something to Touch / 輪島漆スピーカー」です。

そんなわけで、失礼にもアポなしで、『塩安漆器工房』さんを訪ねてみました。

塩安漆器工房』さんは、
今から150年前、安政五年の創業より輪島塗の伝統を代々受け継いでこられました。
そして、昔からのやり方をただそのまま引き継ぐのではなく、人々の暮らしの変化に合わせて、
また環境の変化に合わせて、今までとは違ったものづくりも目指しています。

そのコンセプトが『スーベニア・プロジェクト』が目指すべきところだと共感し、今回、歴史のある門を叩かせていただきました。

いきなりの訪問にも関わらず、販売員の方にお話を通していただき、待つこと数分、、、
すると、幸運にも現当主の塩安眞一社長(五代目)さんにお会いすることができ、突然の取材を許可していただきました!

そして、奥の展示室で見せていただいたのが、コチラ。

輪島塗スピーカー「Something to Touch」

Something to Touch / 輪島漆スピーカー」です。

輪島塗スピーカー「Something to Touch」は、124を数える製造工程において様々な専門の職人が関わっています。

木地の作成の工程には、椀木地職人と指物(さしもの)職人の二人の職人が携わり、形状の美しさと、機構部の精度とを両立させ、塗りの工程では、木地の補強を目的とする下地塗りと布着せ、表面を滑らかにし形を整える中塗りと研ぎ、そして仕上げである上塗りとそれぞれの工程を専門の職人(塗師)が施します。

最後には輪島塗特有の磨き工程、ロイロを施し、よりつややかな風合いに仕上げることで半年以上にわたる工程を終えます。
「塗師屋」である塩安漆器工房の役割は、極めて分業・専門化し非常に時間のかかる輪島塗制作工程を発注から完成まで一貫して指揮することです。

このデザインプロジェクトは塗師屋塩安漆器工房と『参(mile)』が手を組むことで単純な企画者と請負現場の関係を超え、デザイナーと輪島塗の専門家たちが互いに有機的かつ具体的に結びつく環境を創り出されました。「Something to Touch」のコンセプトはまさにその中から生まれたものです。

輪島塗スピーカー「Something to Touch」
【2002年 国際漆展・石川2002 / 審査員奨励賞受賞】
【2003年 東京デザイナーズブロック「エヴァ・クムリン賞受賞」】
【2006年 グッドデザイン賞受賞】
※接点式電源なので、使用しない時は上記のようにデザインを変えられます。

ここに塩安眞一社長の、輪島塗技術を活かした様々な新しいモノ作りに取り組む姿勢、こだわりがあるのではないでしょうか。

長く続く伝統を、このようなカタチで新しい世代に伝えていく、残していくという運動は、地元にずっと住む一部の方々からは、反対意見もでるでしょうし、行動を起こすことは、我々が考えるよりもずっと大変だと思います。

しかし、社長は、

「昔からの技術を活かし、今の時代の輪島塗製品を創造したい」

と、常々おっしゃられていました。

それこそが本当の意味での伝統の継承であり、スーベニア・プロジェクトが表現する役割でなないかと思うのです。

塩安漆器工房では、その他にも輪島漆のプロダクツも数多く取り揃えており、ご丁寧に解説までいただきました。

そして、我々が今回の輪島訪問でもう一つの目的としていた、
W.A project / ワジマアルチザンプロジェクト』に関する情報も、
社長さんからの紹介で、すんなりと事が運ぶことに!

本当に、社長様様です。
ありがとうございました!

塩安漆器工房
スーベニアプロジェクト『Yoshiharu KOIKEDA』

Yoshiharu KOIKEDA

▶ ART DIRECTOR / DESIGNER

1978年生まれ、桶川育ち。文化服装学院流通専攻課程スタイリスト科卒。バイクで日本一周を敢行。2003〜2008年の間、イギリスに留学。LSC、Central Saint Martins College of Art & DesignでGraphic and Industrial Designを専攻。2008年に帰国後、シミコムデザインを設立。2011年にスーベニア・プロジェクトを始動。

Twitter:@shimicomdesign

タビモノ 2011:金沢 – 加賀 – 輪島 vol.12「塩安漆器工房」

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