「新しく作ること」と、
「継続すること」はどちらが大変なのだろうか?
チイキが抱える、大きな問題である。
日本各地を回って思うことがある。
それは、とても美しいココロを持った『ヒト』がどこにでもいるということ。
そして、とても美しいココロが宿った『モノ』がどこにでもあるということ。
日本政府は『ジャパン・ブランド』というものづくり政策を打ち出し、
全国に補助金をばらまいて、日本を誇らしく思うようなプロダクツを各地に生み出している。
果たして、どのようなプロダクツが生まれているのか、皆さんはご存知だろうか?
デザイナーである私も知らない。。。
おそらく、海外のデザイナーの方が詳しいのではないだろうか。
我々が知る、「ものづくり政策」の現状を説明しよう。
1、政府が地方自治体・商工会に補助金を落とし、その地域の伝統工芸を活かした『新しい工芸品』を作らせる。
2、請け負った地方自治体・商工会は『町おこし』と題して、補助金から著名なプロデューサー(ディレクター)、デザイナーを雇う。
3、デザイナーチームは新しいプロダクツを生み出す。カッコいいビュジュアル広告で宣伝する。
4、日本国内で幾つもの賞を獲る。海外でも高い評価を受ける。
5、補助金が尽きる。デザイナーとの契約終了。
6、地域でその事業を受け継ぐ。
7、ブランド性がどんどんと薄れていく。
結果、物流に乗らない。
全てのプロジェクトが同じ道を辿るとは限らないが、
これが各地域のプロジェクトに携わった方々が口を揃えて訴える現状なのである。
スーベニア・プロジェクトが目指すのは、『継続した社会』。
伝統工芸品でも、郷土特産物でも、デザインのクオリティが保たれ、
手軽に手にすることができ、そして消費できる社会。
地域の生産者や企業様と、継続できる範囲のプロダクツを生み出し、
物流に乗せることができる社会。
たとえ、『ジャパン・ブランド』で生まれたプロダクツでも、
それらを物流に乗せ、若者の興味を引き、次の世代へ、そして時代へと受け継いでいく社会。
それが、スーベニア・プロジェクトの役割だと考えています。
Yoshiharu KOIKEDA
▶ ART DIRECTOR / DESIGNER
1978年生まれ、桶川育ち。文化服装学院流通専攻課程スタイリスト科卒。バイクで日本一周を敢行。2003〜2008年の間、イギリスに留学。LSC、Central Saint Martins College of Art & DesignでGraphic and Industrial Designを専攻。2008年に帰国後、シミコムデザインを設立。2011年にスーベニア・プロジェクトを始動。
Twitter:@shimicomdesign