
台風が近づき、雨風が強くなり始めたこの日、真鍮製耳かき『JIJI』のデザイン及び製作を行う金澤友里恵さんの御自宅兼作業場を訪問しました。
そこは多摩川沿いにある自然豊かな場所。
玄関のチャイムを押すと、中から柔らかな雰囲気の金澤さんが出迎えてくれました。
中へ入ると、生活感が溢れた部屋の中にも、以前建築設計事務所に勤めていたという金澤さんのセンスが光る、手作りの家具が並ぶ素敵な空間でした。

ソファに腰かけると、早速耳かき『JIJI』を見せていただきました。
活版で文字が印刷されたパッケージ、タモ材を使用し磁石を入れ閉まり具合にこだわった木製ケース、そしてほど良い金色の真鍮製の耳かき。
どれ一つとっても金澤さんのこだわりが垣間見え、製品への想いが伝わる作品です。
和やかな雰囲気の中、『JIJI』を何気なく手に取りながら、金澤さんの幼少期、作品を作るきっかけなどを伺いました。
横浜で生まれたのち、北海道で育ったという金澤さん。
小さいころから何かを作ったり描いたりすることが好きで、将来も『モノ作り』に携わりたいと思い続けていたという。
金澤さんの祖父は時計職人。
その祖父の作った耳かきが家族みんなのお気に入りだった。
長く大切に使ってきた耳かきだったが、ある時折れてしまう。
幼少期より創造性を蓄え、技術を身につけてきた金澤さんは、自分で作ってみることに。
友達に相談したり、様々な材質で試し、何度も何度も作り直しを重ね、、、
『JIJI』は誕生した。

両側に大小のスプーン状の溝があり、通常の耳かきでは難しい子供さんの耳のかゆいところにも届く優れもの。
手にフィットする持ち心地もたまらない。
耳かきなのに、雑貨のようにかわいい。

お話を伺った後、実際に作業する姿をお見せいただきました。
手慣れた手つきで作業していく金澤さん。
しかし、1日2本作るのが限度だという。
だからこそ一本一本に金澤さんの愛情が注ぎ込まれる。
部屋の中には、なんだか懐かしい金属を叩く音が響き、夕暮れの少し暗くなった部屋を心地よい空間へと演出し、私たちは結局3時間ほど滞在してしまいました。
『JIJI』の耳かき、少し高価ではあるけれど、一生私たちの傍にいてくれることでしょう。
【旅のモノ語り:2011.5.29】

Mika KOIKEDA
▶ SALES MANAGER / PR
1984年生まれ、安曇野育ち。19歳の時にイギリスへ留学。London Institute Of Technology & Researchに通い約一年間海外生活を経験。日本の良さ・田舎の大切さを実感する。子どもたちに触れ合う仕事に就いたのをきっかけに、次世代の未来を考えるようになり、2011年スーベニア・プロジェクト立ち上げる。休日は東京に住みながらも自然がたくさんある場所に行こうとする傾向あり。