今年2月のご訪問以来、2度目となる東京都墨田区にある廣田硝子株式会社さんにお伺いしてきました。
明治32年創業の廣田硝子さんは、元々は駄菓子屋さんのお菓子を入れる容器や、ビン、ランプ等の製造を主な生業としてきました。
現在では江戸時代から培われてきた世界に誇る生産技術を活かして、江戸切子や大正浪漫硝子、昭和モダンの復刻シリーズなどを手がけております。
江戸硝子は元々透明な鉛グラスに切子を施していたものが、明治以降になると赤、紫、青などの鮮やかな色被せガラスが使われるようになり、鮮やかな彩りが江戸硝子の代表となりました。
しかし、かつては多くあった色被せガラスの工場も、安価な中国製品の流入により需要が減り、現在の東京都墨田区にはたった1社のみとなってしまったそうです。
3代目社長の廣田達郎さんは、東京から被せガラス工場がなくなるその日まで、メイドインジャパンにこだわり、
「良い材料を使い、現在の市場にはなく、海外では作ることができない製品を作り続けていく」
と、自信を持って語っていただきました。
また廣田さんは、江戸硝子や切子の良さをもっと若い人たちにも知ってほしい、使ってほしいとの願いから、様々なデザイナーと組み、現代の食卓に似合うプロダクツを数多く生み出しています。
今回はその中でも、新作となる「karai」(花蕾)シリーズの商品サンプルを引き取りに伺いました。
花のつぼみを模した柔らかく優雅なフォルムに、伝統的表現技法を用いた「karai」シリーズは、同じフォルムでありながら、素材、技法、色彩に依って16種類の表情を醸し出します。
現在弊社にて商品撮影を行い、販売への準備を進めておりますので、一般販売までもう少々お待ちくださいませ。
廣田硝子さんの本社すぐ近くから、とても美しい東京スカイツリーが望めます。
みなさんも、ぜひ新しい「江戸」へいらしてください。
Yoshiharu KOIKEDA
▶ ART DIRECTOR / DESIGNER
1978年生まれ、桶川育ち。文化服装学院流通専攻課程スタイリスト科卒。バイクで日本一周を敢行。2003〜2008年の間、イギリスに留学。LSC、Central Saint Martins College of Art & DesignでGraphic and Industrial Designを専攻。2008年に帰国後、シミコムデザインを設立。2011年にスーベニア・プロジェクトを始動。
Twitter:@shimicomdesign