壮大な棚田を満喫し、次は輪島の市街地へと車を走らせました。
1月に来たときは真っ白だった景色も、
夏の日差しを浴び、濃い緑の草木が心地よさそうになびいていました。
以前より訪れてみたかった『香華園』さんへ。
しかし、この日はあいにくの定休日…。
たまたま通りかかった郵便局員さんを捕まえ、
「ここらへんで美味しいお店ありますか?」と訊くと、
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
近くのお食事処『やぶ新橋』さんを教えていただいたので、
そこで腹ごしらえをし、まずは本町商店街(朝市通り)へ。
日曜日の朝は、海産物や野菜を売る屋台が軒を連ね、
多くの方が訪れ賑わいをみせます。
しかし、私たちが訪れたのはすでに午後。
落ち着いた本町商店街が私たちを出迎えてくれました。
ここ、本町商店街は整備されていますが、
趣のある建物が心地よく残されています。
輪島の代表的な伝統工芸である輪島塗の漆器屋さんをはじめ、
スーパーや靴屋、時計屋さんなど生活必需品のお店もあり、
そして永井豪の記念館までもが立ち並んでいます。
また、『輪島工房長屋』という数件の漆器屋さんが並んだ長屋では、
輪島塗の見学もすることが出来ます。
そこは、観光地と地元の方々で賑わう興味深い商店街でした。
本町商店街の真ん中あたりに位置する『桐本木工所・本町店』。
この場所は昭和47年まで工房として使われておりましたが、現在はショップ兼工房となっています。
桐本木工所は長年続く木地屋さん。
今回幸運なことに、三代目、桐本泰一さんに今回お話しする機会をいただきました。
桐本さんは、漆器を日常的に使ってもらいたいという想いから
漆を使った新しいデザインの食器や、文房具をつくり出し、
若い人たちに漆製品に触れる機会をつくっています。
また、ご自身でも全国各地を飛び回り、
漆塗りの実演をしたり、漆製品の手入れの仕方や魅力など伝えています。
この日、真夏の太陽が照りつけ、
蒸し暑い陽気の中、自転車に乗った桐本さんが颯爽と登場しました。
お店の中には、自慢の品々が並び、
輪島塗のことや、製品についてなど多くのお話しを伺うことが出来ました。
暑い中でも、快くお話しをしてくださった桐本さん。
木地や漆への熱い想いが伝わってくる、心に響くお話しでした。
陽も暮れかけてきましたが、次に向かった先は『塩安漆器工房』。
1月に訪問させていただいた際は、まだ輪島塗の知識も少ない私たちでしたが快く迎えてくれ、
その後も東京などで何度かお会いする機会をいただいてきました。
安政5年創業の塩安漆器工房は、塗師屋として多くの商品を生み出してきました。
お店に並ぶ漆器は、漆独自の輝きがあり、均一で深い色合いはまさに芸術品です。
ただ、芸術品と認識され始めてしまった輪島塗を、
若い世代の方々にも使って欲しいという思いから、
塩安漆器工房では新しいデザインを取り入れ、輪島塗のスピーカーやアクセサリー、カップなど
日常使いできる製品をつくることにも力を入れています。
ご家族が一丸となりながらも、それぞれに考えて得意分野を伸ばしていく塩安さん一家は
とても力強く、輪島塗を次世代に伝えていってくれています。
今回の旅も石川県の素晴らしい方々にお話を伺うことができました。
私たちが出会った方々は、自分たちの地元をとても大切にしているからこそ
大切なモノや技術を残そうと真剣に考え取り組んでいます。
SOUVENIR PROJECTでは、そんな想いを多くの方に伝えるべく活動していきたいと思っています。
【旅のモノ語り:2011.07.10】