昨晩の祇園祭の余韻が残るこの日、お世話になった方々に挨拶をし、七尾市を後にしました。
次に私たちが向かった先は、石川県珠洲市。
晴天のこの日、すでにリサーチを進めていた熊谷オススメであり、
石川県の北東部、能登半島の先端に位置する珠洲市へ車を走らせます。
緑豊かな山を抜ける途中、熊谷の
「あっ、そこ左!!」
の突然の掛け声に急ハンドルで曲がると、
目の前に洋風の建物が見え、敷地には小さな畑、田んぼ、花畑、池などがあり、
田舎の小学校のような空間が広がっていました。
なんだか不思議な感覚を覚えつつ、建物の方へ行くと、
「ヘラクレス」と名付けられたレンガでできた大きな釜戸へパン生地を入れるご主人を発見。
ここは退職された校長先生が経営する『小さな谷のパン屋さん』。
この日は、時間が早かったためパンはお預けとなりましたが、
次に行く楽しみがまた一つ増えました。
広大な土地にある様々な自然に美味しいパン。
子供も大人も開放感たっぷり遊べるのではないでしょうか。
また車を走らせ、次に私たちが向かった先は『ギャラリー舟あそび』。
古民家にギャラリーを構え、一見見過ごしてしまいそうな場所にひっそりと佇んでいます。
大きな暖簾をくぐり中へ入ると、よく手入れされた部屋の中に
綺麗に並べられた陶器たちが見えました。
家中の窓が開けられた室内は、裏山から涼しい風が吹き抜け、
心地よい空間を作り出しており、昔の家づくりの素晴らしさを実感。
ギャラリーを運営する船見さんより美味しいお茶とチョコレートをごちそうになったのですが、
この時出していただいたお茶がのっていたお皿は「輪島キリモト」で作っていただいたとのこと。
古民家の雰囲気にぴったりで、おもてなしの心を感じました。
そして、舟見さんには多くのお話しを伺いました。
ギャラリーをオープンさせるまでの道のり、今の地域が抱える問題、今後の役割などなど。
外からは見えない、住んでいる方の貴重な意見はとても勉強になります。
するとそこに、蒔絵師の鎌田奈緒美さんがお越しになり、
幸運なことに、貴重な蒔絵師のお仕事についてや、かけてしまった大切な器を繋ぎ、
割れた後に金粉を加飾することにより味を出す技法『金継』について伺うことができました。
舟あそびでは、金継の費用やかかる日数などの
相談会を行っており、お客様の器をみて相談にのってくれるのとのことでした。
器を大切に使う。
今や安い器を使い捨てのように使う現代に、モノを大切にする気持ちを伝える
重要な役割を担っているのではないでしょうか。
すっかりくつろがせてもらった船あそびを後にし珠洲市街を散策していると、
かわいらしいカフェ『二三味珈琲』を発見!
倉庫を改装したという店内は、前面がガラス張りでとても明るく開放的な空間。
白い漆喰壁に梁や床など、ところどころ木を使った暖かみあるインテリアが、心地よい雰囲気です。
オーナーの二三味さんこだわりの挽きたて豆のブレンドコーヒーは香り良く、
やや深煎りで、苦味と酸味のバランスが絶妙!
とても美味しかったです。
帰りにお土産のコーヒーも購入し、お店を後にしました。
珠洲といえば有名なのが天然塩。
実際に天然塩がつくられているところを見に、海岸方面へ車を走らせました。
珠洲市仁江海岸では、日本でただ一ヶ所、江戸時代からの「揚げ浜式製塩」が続けられてきました。
海岸沿いには多くの塩田が並び、砂はきれいに平し四角く整備されています。
今回私たちは、資料館や売店が設営されている『みちの駅 すず塩田村』で車を停めました。
残念ながら、この日実際に塩造りをしているところは見れませんでしたが、
展示品等で塩造りの様子や塩を作り出すまでの手間や苦労を
ほんの少しだとは思いますが、学ぶことが出来ました。
揚げ浜式製塩は400年以上もの長きにわたる時を一子相伝で受け継がれている製塩技術です。
ここで採れた塩から、多くの塩製品が作られています。
最近では、塩サイダー・塩ゼリーなど、オシャレで愛らしい商品が発売され、
能登半島を中心に北陸地方のスーパーやお土産屋さんに並びます。
先祖代々受け継いできた塩造りを絶やさぬよう、
今日も塩造りや販売に力を入れる頼もしい珠洲の方々でした。
10月29日には、珠洲の「揚げ浜式製塩」のドキュメンタリー映画『ひとにぎりの塩』が公開となります!
歴史の奇跡により続いてきた珠洲の塩づくり。
スーパーなどで簡単に何でも手に入れることができる今だからこそ、
職人さんたちが汗を流しながら塩づくりをする姿をみて学ぶことが多いはずです。
ぜひ、映画館へ足を運んでみてください。
【旅のモノ語り:2011.7.10】
Mika KOIKEDA
▶ SALES MANAGER / PR
1984年生まれ、安曇野育ち。19歳の時にイギリスへ留学。London Institute Of Technology & Researchに通い約一年間海外生活を経験。日本の良さ・田舎の大切さを実感する。子どもたちに触れ合う仕事に就いたのをきっかけに、次世代の未来を考えるようになり、2011年スーベニア・プロジェクト立ち上げる。休日は東京に住みながらも自然がたくさんある場所に行こうとする傾向あり。